当グループに所属し、沖縄県で新車・中古車の販売、企業向けに多様な車種のレンタル、自動車整備・点検など様々なクルマに関する事業に取り組んでいるソニックオートモービル。
そのソニックオートモービルが8月にベトナムで整備士の現地採用を実施したとの情報が入ってきた。
≪本プロジェクトの取り組みに関する背景≫
≪なぜ外国籍人材の採用に至ったのか≫
その真相を知るため、我々は沖縄県那覇市小禄にあるソニックオートモービル本社に向かった。
今回インタビューに答えていただいたのは、このプロジェクトの意思決定と現地統括をおこなった『米盛代表取締役』、現地視察・オペレーション整理を務めた『浦崎常務執行役員』、モビライズグループ全体の採用を担っている人事総務課の『菅尾係長』、以上の3名である。

およそ1時間に渡って実施したインタビューを本記事にまとめた。
長い文章となるが、ぜひ最後までご覧いただきたい。
–まず米盛代表取締役にお伺いします。今回、外国籍人材の採用を実施した背景について教えてください。

(米盛)沖縄県内の深刻な人手不足が背景にあります。特に整備職は慢性的な人手不足とベテラン世代の引退が加速しており、技術継承やサービス品質維持が課題となっています。
そこで短期的な人員補充ではなく、中長期的に人材を育成し戦力としていく新たな手段として、外国人技能実習制度を活用することを決断しました。
これは私たちにとって非常に重要な「未来への投資」と考えています。
–日本国内において、若い方が整備士を目指すというのは少ないのでしょうか。
(米盛)そもそも自動車免許を取らないという方も増えており、若い方の自動車離れが進んでいると感じています。その中で整備士を目指す方は減ってきています。
その背景から、弊社は「待つ採用」ではなく「外国籍人材の労働力を取り入れる」ことで会社の安定性が増していくのではないかと考えました。
–なぜ様々な国がある中で、今回はベトナムに注目されたのでしょうか。
(米盛)ベトナムの方は非常に勤勉で真面目であり、協調性が高いと評判で、多くの企業が採用に積極的です。
また今回の仲介団体であり、全国的に外国人技能実習制度の事業をされている監理団体のクリエイトヒット様が既にベトナム人留学生を受け入れており、その事業の評判とサポート体制が充実しているということで依頼しました。
–現地採用を決めるまでに、社内でどのような議論や検討がありましたか。
(米盛)WEB面接での採用も検討しましたが、初めての外国籍人材の採用となりますので、実際の学習環境や施設の中で生徒の皆様がどのように学んでいるのかを確認して、直接面談したいと考えました。
また一期生を受け入れた後の課題を現地と協議しながら、より良い人材採用につなげるために今後も訪問を継続して行うことを考えております。

–今回の外国籍人材の採用は、会社全体の中でどのような位置づけのプロジェクトなのでしょうか。
(米盛)まず弊社は2027年4月頃に本社機能を有した新工場の建設を予定しております。
現在の工場からリフトが5台追加され、一般整備だけでなく付属品の取り付けなどの作業をするにあたり、整備士の増員が必要となります。
現在在籍している若手社員やベテラン整備士の中に、外国人技能実習生を加えることで幅広い年齢層から出る経験や知恵を駆使し、重整備から一般整備などの様々なニーズに応えられる体制を整えることが今回のプロジェクトです。
–実際に現地に足を運んで感じた、ベトナムの人材市場の特徴や印象を教えてください。
(米盛)現地では9名の方に面接を受けていただいたのですが、訪問前にイメージしていた通り、真面目な印象が伝わってきました。人柄も見ている限り、日本での生活も真面目に取り組んでいただけるのではないかと感じました。
–現地での面接や学校訪問を通じて、特に印象に残ったエピソードはありますか?
(米盛)面接項目の中に腕立て伏せやスクワットなどの体力測定があったことに驚きました。日本では聞いたことが無かったのですが、そこで人柄も見えてきました。
(菅尾)最初はどういう意図なのかわからなかったのですが、周りを気にせず自分のペースを守る人や、協調性がある人など、この試験で見えてくる人柄があるのではと感じました。

–経営者として、今回の採用活動で最も重視したポイントは何でしたか?
(米盛)強いて言えば年齢のバランスを重視しました。今回は3名採用しましたが、リーダーとなる年長者が後輩の面倒を見たり、日本での生活を支えることができたりするのかなどを評価しました。
今回採用した中で最年長となる方はテストの評価も良く、日本移住の覚悟を持っており、リーダー気質があると評価しています。
あとは整備経験より人柄や真面目さを重視した結果、3名を採用することになりました。
–ソニックオートモービルが設立して現在に至るまで外国籍の方が入社されたことはありますか。
(米盛)ありません。今回の採用した方々が初めてとなります。
–外国籍人材の採用に対するリスクや懸念点はどのように考えていらっしゃいますか?
(菅尾)一般的なリスクとして挙げられるのが、面接で説明した内容と実際の仕事内容のギャップ、早期退職、母国への帰国があげられます。それらのリスクを完全に消すことはできませんが、その点はクリエイトヒット様の教育やサポート体制がしっかりしており、信頼性が高いと考えています。
あとはコミュニケーションの部分は懸念されます。面接ではクリエイトヒットのベトナム担当者様が通訳として仲介に入ったので、面接をした候補者との直接的な質疑応答がありませんでした。
現在、生徒の皆様は現地で日本語学習をしていますが、日本語力の急速な向上は難しいと考えています。ですので、実務を通じてコミュニケーションや日本語力に対する課題を解決する必要があると考えます。

–今回採用した人材に、どのような成長や役割を期待されていますか?
(米盛)まず技能実習の基本的な期間である3年間で自動車整備の基本を含めた全般的な技術の習得を期待しています。
また車検整備だけではなく、自動車周りの装備取り付けや交換、電装周りの経験も習得してほしいです。
–今後も海外人材の採用を継続・拡大する構想はありますか?
(米盛)今回、仲介団体として入っていただいているクリエイトヒット様ではベトナムとインドネシアの方を実際に採用していらっしゃいます。
まずはベトナム人材との実績を積んでからとなりますが、インドネシアの方もベトナム同様にまじめで勤勉な人材が多いと聞いているので、今後の人員拡大に伴いながらインドネシアからの採用も検討したいと考えています。
–続いて浦崎常務執行役員にお伺いします。現地での採用活動に同行されたとのことですが、事前に想定していたことと、実際の現地の様子にギャップはありましたか?

(浦崎)良い意味でのギャップはありました。初めての外国人実習生の受け入れで、制度上のフローを中心に理解はしていましたが、実際に生徒の皆様とのふれあいで採用の重要性を強く実感しました。
また学校や施設は清潔に整備されており、日本語学習の様子も見学しましたが、候補者の皆様は礼儀正しく、目を見て話し、熱意をもって面接に臨んでいらっしゃいました。
その結果、単なる制度導入ではなく未来ある若者と共に会社を作っていくというソニックオートモービルの理念に基づいたプロジェクトであると改めて実感しました。



–面接を通して、ベトナム人材のどのような強みを感じましたか?
(浦崎)米盛代表取締役からもありましたが、真面目で勤勉、あと素直さと吸収力の高さが特徴だと感じました。質問には真摯に答え、内容を理解しようとする姿勢が強みだと思います。
また手先が器用な方が多く、整備士としての資質も感じており、家族のため将来のために日本で頑張りたいという覚悟のある人材が多い印象でした。
–現地の学校・教育機関との連携について、どのような印象を持ちましたか?
(浦崎)学校も綺麗で、送り出し機関も生活面や技術面、日本語教育などについては体系的な仕組みが出来ており、信頼できる教育パートナーであるという印象を大きく受けました。
また私たちが期待するスキルレベルや人物像をしっかりと理解したうえで候補者を推薦する体制が整っており、今後の長期的な連携にも非常に安心感が持てた印象です。
–実際に採用に至った人材の決め手は何でしょうか?
(浦崎)まず年齢ですが、それぞれ26歳、19歳、18歳の3名となります。
最初に26歳の方ですが、布裁断・衣類のアイロンがけの仕事を7年ほどされていました。家族の為に日本で整備を学び、将来は家や工場を地元で建てたいという、現実的で高い目標を持っています。またチームワークをとる人材として適任ではないかというところも決め手になりました。
続いて19歳の方ですが、日系レストランでアルバイトの経験がありました。採用した3名の中で、最も真面目で実直なところに惹かれました。将来の夢として日本に家を建てたいというところから、長期的に働いてくれるだろうという安心感から採用に至りました。
最後に18歳の方ですが、性格的に明るく、笑顔が見え、受け答えがしっかりしていました。将来的に経営も勉強したいという意欲もあるところに魅力を感じ、採用となりました。
三者三様の特性を持った方々ですが、共通して言えるのは「この人と一緒に働きたい」と感じる方でした。
–採用活動を進めるなかで、改善点や次回への課題として感じた点があれば教えてください。
(浦崎)事前にベトナムの文化や生活習慣をもっと学んでおけば、より深いコミュニケーションが取れたのではないかと感じています。
次回からは多面的な評価を取り入れて、相互理解を深めた選考にしていきたいと考えています。
–沖縄という地域性の中で、外国籍人材をどのように活躍させたいと考えていますか?
(浦崎)沖縄は東京と異なり、若手人口の流出や人手不足という課題がある一方、過去の歴史から多様性を受け入れる土壌はあると考えています。
今回採用した3名も労働力としてではなく、社内の風を変える存在として迎え入れることで、既存社員の刺激となり社内教育文化に良い影響をあたえるのではと考えています。
また会社としては、地域に根差した活動をしながらグローバルな視点を持つ組織にしていくことを目指したいと考えております。

–今回入社していただく予定の人材に対し、どのようなサポート体制を用意していますか?
(浦崎)社宅・寮の整備、生活オリエンテーション、日本語学習支援の実施を行う予定です。加えて専任メンター制度を導入し、業務や生活の悩みをサポートする体制を整えていきたいと考えています。
また社内イベント・食事会でコミュニケーション機会を設けて、会社の中で孤立させない環境づくりには注力したいと考えています。
–今後、外国籍人材の採用を運用段階に移すうえでの目標を教えてください。
(浦崎)採用は入り口にすぎません。目指すのは「定着と戦力化」です。
まずは3年間の技能実習でスキルを習得していただき、特定技能ビザの取得や社員登用の道を用意したいと考えています。
「育てて終わり」ではなく「共に働き続ける存在」として、社内全体で外国籍人材を受け入れ育てる文化を構築することが次の目標です。
–続いてモビライズグループ全体の採用を担う立場にある人事総務課の菅尾係長にお伺いします。
モビライズグループ全体の採用を担う立場として、今回のベトナム採用プロジェクトにはどのような役割で関わられましたか?

(菅尾)私はファシリテーター(参加者の意見を引き出して合意形成を促す進行役)として参加いたしました。
主に判断基準に関する質問や、モビライズグループが求める「素直で真面目」という人物像のマッチング判断を実施いたしました。
–ソニックオートモービルが抱えている採用課題について、どのような背景を把握していましたか?
(菅尾)沖縄はそのほかの地域と異なり、一般的に名前の知られている求人媒体ではなく、沖縄独自の求人媒体や地域地盤とのつながりで応募いただくケースが多いです。
また地方単位でみると人口が少なく、応募数は限定的であり、離職率が高いという点は課題だと感じています。
–モビライズグループ全体を見渡す立場として、外国籍人材の採用の必要性をどのように評価していましたか?
(菅尾)冒頭でも米盛代表取締役が仰っていた通り、整備職については車離れによる日本人整備士の志望者が少なく、外国籍人材の力が必要だと感じています。もちろんコミュニケーション能力や日本語能力は重要ですが、国籍で判断する必要性はないと私自身は考えています。
それよりも今後は海外との取引増加などを見据えて、ベトナムに限らず多国籍な人材は必要だと思っているので、グローバルに活躍できる社員の確保を重要視しています。
(米盛)技能実習生は職種が限定されますが、一般的な採用という形であれば業種は問いません。インバウンド対応で中国語話者のニーズも増えており、英語や中国語などの外国語を話せる人材は魅力的だと思っています。
–面接や学校訪問において、他の2名(米盛代表取締役・浦崎常務執行役員)と違う視点で注目していたポイントはありますか?
(菅尾)モビライズグループ全体として外国籍人材採用を活用できないか、ソニックオートモービル以外でも実用できないか、というところをポイントとして見ていました。
例を挙げると株式会社ジーライオンレンタリースのレンタカー事業におけるインバウンド顧客の獲得がありますが、その他のグループ企業でも様々な場面で外国籍人材を活かせないかという点に注目しました。
–外国籍人材がモビライズグループ全体で活躍するために、受け入れ・教育計画をどのように構想していますか?
(菅尾)現在はソニックオートモービルが主体となりますが、ビジネスマナー研修、グループ交流、生活支援など、それ以外にも特に教育計画がスケジュール通りに進行しているかの確認について、モビライズグループの人事総務として関わっていきたいと思います。
(浦崎)既に自習計画はありますが、仕事以外の時間の有効活用と会社へ馴染んでいただくことも重要です。そのため、生活面のサポートもしっかり対応する必要があると考えています。
(菅尾)他社の外国籍人材の採用事例を参考に、整備士教育のノウハウを収集し、定着しやすい会社作りを現場と相談しながら進めていく構想を立てています。

–今回の採用活動を通じて、モビライズグループ全体の採用基準や仕組みづくりに活かせる学びはありましたか?
(菅尾)ソニックオートモービルだけではなく、他のモビライズグループに所属する会社でも外国籍人材の採用を進めていくことができればと思っています。
我々も始めたばかりで手探りの状況ですので、一期生を迎えた後の実績次第ではありますが、最終的に各企業・事業所に外国籍人材がいる状況を作ることが理想であると考えています。
–今後、モビライズグループの採用担当として外国籍人材とどのように関わり、どのような体制を整えていきたいと個人的にお考えでしょうか?
(菅尾)毎年のように外国籍の人材を採用する仕組みをモビライズグループ全体で構築できることが理想だと思います。
そのためには住宅確保や教育面などの課題解決が不可欠となりますが、外国籍の方が安心して会社に定着し、日本で生活することができる体制づくりを整えたいと思っています。
–皆様に今回のプロジェクトの総括としてご質問させていただきます。
今後、このプロジェクトが会社にもたらす変化を、どのように捉えていますか?
(菅尾)新たな風が吹き、今まで取り組めていなかった外国籍の方とのコミュニケーションが増加すると思います。また現場の教育面でも新たな工夫が生まれ、指導面・技術面・プライベート面のサポートが拡充されるとも考えられます。
またモビライズグループは従業員・売上ともに右肩上がりで増加しております。大手企業の中には、外国籍の方と日本人が普通にコミュニケーションを取りながら働いているところも多いので、モビライズグループでも、そのような文化を作っていくことが出来ればと思っています。
–今後の外国籍人材との関わりを通して、組織としてどのような成長を目指しますか?
(浦崎)外国籍人材を戦力としてだけでなく、共に成長し合えるパートナーという位置付けで考えています。国籍や言語の違いを乗り越えた経験は、組織の多様性・応用力・教育力を高める良い機会だと思っております。
ゆくゆくは外国籍人材が自身の後輩や次世代に技術や価値観を伝えることで、持続可能な人材循環の仕組みを構築していきたいと考えております。
ソニックオートモービルがグローバルな学び場として進化し続けることで新たな強みになると信じております。
–最後に、この記事を読んでいる皆様へ、今回の取り組みに込めた想いを、それぞれ一言ずつお願いします。

(米盛)ソニックオートモービルはクルマに関する事業を多角的に展開する企業です。その中で今回の採用活動を通じて、外国籍の方を会社全体で受け入れる体制を作り、整備部のみならず、会社全体でのチームワーク強化を図りたいと考えています。
今後は事業の拡大と共に、このようなグローバル展開を積極的に取り組んでいきたいと思っておりますので、当社の活躍にもご注目いただきたいと思います。

(浦崎)現在、我が社は創業期から成長期に入っている段階です。
そのタイミングで今回の外国籍人材の受け入れにチャレンジすることは、更なる成長に繋がっていくのではないかと考えております。そのために教育育成の仕組みについて再設計を進めて全社員の意識改革につなげようと思っております。
ソニックオートモービルが選ばれる企業となるためには、働きやすさと支援体制の整備が必要であり、それを進めることで組織全体の成熟が引き上げられると考えております。
私は「人を育てることが会社を育てること」だと思いますので、今回の外国籍人材との出会いは国境を越えた挑戦の第一歩としてご注目いただければ幸いです。

(菅尾) 米盛代表取締役と浦崎常務執行役員の考えと同様に、新工場設立に伴う労働力確保ではなく、新しい風を吹かせる人材採用が重要だと考えております。各社の状況や現場の意見を確認しながらになりますが、今回のプロジェクトを通じてグローバル対応力を強化し、職種問わず外国籍人材を雇用する風土づくりができればと思っております。
そうして国籍問わず優秀な人材を採用することで、モビライズグループ全体の成長が加速すると感じております。
今後とも皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
いかがだっただろうか。
今回の取材で、この外国籍人材プロジェクトは単なる労働力確保ではなく、ソニックオートモービルがグローバル企業へ、モビライズグループがグローバルグループへ成長するための重要な手法であると感じた。
特にソニックオートモービルが事業を展開する沖縄は外国籍人材の採用において、過去の歴史から見ても外国との関わりが深く、グローバル風土が存在すると考えている。
モビライズグループの中でも特にこの特性を活かせる企業として、今後もグローバル対応力を強化する礎を築いていただきたい。

これにて本年の更新を終える。本稿を継続して読んでいただいた皆様に改めて感謝する。
次回は2026年1月26日(月)を予定しており、奈良スズキ販売株式会社に関する記事を予定している。
来年も各社の挑戦や動向をお伝えするので、2026年の更新も楽しみにお待ちいただきたい。